もし外国を旅行していて、気温が77°Fと表示されていたら見慣れない表記に戸惑ってしまうのではないでしょうか。
これは華氏という温度単位が使われているためです。
この気温を摂氏で表すと、約25℃に相当します。
本記事では、温度表示に摂氏と華氏の二つの異なる単位がある理由、それぞれの単位の特徴、変換方法、そしてどの国でどの単位が主に使われているのかをご紹介します。
摂氏と華氏の基本的な違い
摂氏と華氏はどちらも水の状態変化を基にした温度測定法です。
摂氏の場合
- 水の凝固点:0℃
- 沸騰点:100℃
この100度の間隔を基準にしています。
華氏の場合
- 水の凝固点:32°F
- 沸騰点:212°F
この180度の間隔を使用しています。
この違いから、摂氏1℃の温度変化は、華氏で約1.8°Fの変化に等しいです。
摂氏と華氏の換算方法
温度を華氏から摂氏に変換する際には、次の公式を使用します。
摂氏 = (華氏 − 32) / 1.8 摂氏=(華氏−32)/1.8
逆に、摂氏から華氏への変換はこのように行います。
華氏 = (摂氏 × 1.8) + 32 華氏=(摂氏×1.8)+32
例として、人の平均体温である36.5℃を華氏に変換すると、約97.7°Fとなります。
摂氏と華氏の比較表
以下は摂氏と華氏での0度から40度までの比較表です。
摂氏 (°C) | 華氏 (°F) |
---|---|
0 | 32.0 |
1 | 33.8 |
2 | 35.6 |
3 | 37.4 |
4 | 39.2 |
5 | 41.0 |
6 | 42.8 |
7 | 44.6 |
8 | 46.4 |
9 | 48.2 |
10 | 50.0 |
11 | 51.8 |
12 | 53.6 |
13 | 55.4 |
14 | 57.2 |
15 | 59.0 |
16 | 60.8 |
17 | 62.6 |
18 | 64.4 |
19 | 66.2 |
20 | 68.0 |
21 | 69.8 |
22 | 71.6 |
23 | 73.4 |
24 | 75.2 |
25 | 77.0 |
26 | 78.8 |
27 | 80.6 |
28 | 82.4 |
29 | 84.2 |
30 | 86.0 |
31 | 87.8 |
32 | 89.6 |
33 | 91.4 |
34 | 93.2 |
35 | 95.0 |
36 | 96.8 |
37 | 98.6 |
38 | 100.4 |
39 | 102.2 |
40 | 104.0 |
この表を参考に、摂氏と華氏の温度差を具体的に把握できます。
摂氏と華氏の存在理由
この章では、摂氏と華氏という二つの温度単位が存在する背景について解説します。
それぞれの発祥と、現代における使用状況について詳しくご紹介します。
華氏の発祥
華氏は1724年にドイツ出身の物理学者ガブリエル・ファーレンハイトによって考案されました。
この温度単位は彼の名を冠しています。
ファーレンハイトは、当時のさまざまな温度測定法の不一致を解消するために、自身の温度計を開発しました。
その結果、より一般的に受け入れられる方法として華氏が広まりました。
摂氏の発祥
摂氏は1742年にスウェーデンの天文学者アンデルス・セルシウスによって開発されました。
この温度単位も、彼の名前から命名されています。
セルシウスの目的は、より科学的で単純な温度測定法を提供することであり、0℃を水の凝固点、100℃を沸騰点と定義しました。
これにより、科学研究において温度の標準化が進みました。
世界で摂氏と華氏を使用している国々
世界の多くの国々では1970年代のメートル法採用とともに温度単位として摂氏を採用していますが、アメリカを含むいくつかの国では今でも華氏が広く使用されています。
アメリカ、ジャマイカ、バハマ、ケイマン諸島:華氏
アメリカ合衆国では、公式には摂氏も認められていますが、日常生活では主に華氏が使用されています。
天気予報などでは華氏が一般的ですが、インターネット上では摂氏と華氏が併記されることがあります。
家庭での体温計も摂氏と華氏の切り替えが可能です。
学校教育では摂氏の基本的な知識も教えられますが、華氏がより一般的です。
完全な摂氏への移行は経済的な障壁が大きいため、進展が遅れています。
また、アメリカ以外でもジャマイカ、バハマ、ベリーズ、ケイマン諸島などで華氏が使われています。
ヨーロッパ:摂氏
ヨーロッパでは、多くの国々が過去に華氏を使用していましたが、現在はフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ポーランド、オランダ、ベルギー、チェコ、トルコなど、ほぼ全ての国で摂氏が主流です。
イギリスでは1960年代から1970年代にメートル法導入に伴い摂氏への移行が推進されましたが、非科学的な用途では今も華氏が一部使用されています。
アジア:摂氏
日本、中国、韓国、インド、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールなど、アジアのほとんどの国々では摂氏が広く使われています。
これらの国々では日常的な気温表示、教育、メディア報道で摂氏が標準となっています。
オセアニア:摂氏
オセアニア地域では、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、パプアニューギニア、サモアを含むほとんどの国で摂氏が使用されています。
この地域の国々は気候データや日常生活で一貫して摂氏を利用しています。
パラオ共和国、ミクロネシア連邦:華氏
オセアニア地域でも例外として、パラオ共和国やミクロネシア連邦では今も華氏が使用されています。
まとめ
世界中で温度単位として摂氏と華氏が使用されており、使用される単位は地域によって異なります。
アメリカを含む一部の国々では、公式には摂氏も認められているものの、日常生活では華氏が広く使われています。
特に天気予報や日常会話では華氏が主に用いられ、教育では摂氏の基本も教えられますが、華氏が一般的です。
ヨーロッパの大部分の国々では摂氏が一般的であり、メートル法導入に伴い摂氏への移行が進んだ地域です。
イギリスでは非科学分野で時折華氏が使用されることがあります。
アジアとオセアニアのほぼ全域では摂氏が広く使われており、科学的な文脈でも世界的に摂氏の使用が一般的です。
これにより、国際的なコミュニケーションやデータの共有において、これらの違いを理解し適切に対応することが重要です。
文化的背景や歴史的経緯が温度単位の選択に大きな影響を与えています。